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コーチングの歴史

「コーチ (Coach)」の語源は「馬車」です。
馬車の役割は「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」ことであり、そこから派生して「人の目標達成を支援する」という意味で「コーチング」という言葉が使われるようになりました。

1950年代当時、ハーバード大学助教授であったマイルズ・ メイス (Myles Mace) 氏の著書『The Growth and Development of Executives』(1959 年) の中で、「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」と記されました。これが、今につながるコーチングの始まりと考えられます。
1980 年代になると、コーチングに関する出版物が多く登場し始め、「コーチ」 は個人や組織の目標達成を支援する存在として、特に米国を中心に、教育、スポーツなどさまざまな分野で発展を遂げることになります。日本では、1997 年に当社(当時コーチ・トゥエンティワン)が、日本語では初めてのコーチ養成機関として、コーチングを体系的かつ体験的に学ぶ「コーチ・トレーニング・ プログラム (CTP)」の提供を始めました。

2000年代に入ると、ゼネラル・エレクトリック社のジャック・ウェルチ氏、グーグルのエリック・シュミット氏とセルゲイ・ブリン氏、メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ氏とシェリル・サンドバーグ氏など、世界的大企業の経営者がエグゼクティブコーチをつけるようになり、その注目度はますます高まります。
今では、企業でのマネジメントに活用するビジネスパーソンをはじめ、教育関連、医療関連、士業、専門職など、さまざまなバックグラウンドの人が学び、コーチングはさまざまな領域で独自に活用、展開されています。

コーチングとは

コーチ・エィでは、コーチングを次のように定義しています。

対話を通して、クライアント(コーチングを受ける人)の目標達成に向けた
能力、リソース、可能性を最大化するプロセス

コーチは、何かを教えたりアドバイスする立場ではなく、あくまでもクライアントが達成したい目標を明確にし、その目標を実現させていくための伴走者の役割を担います。

コーチとクライアントの間で交わされる対話の中心には、常に「問い」があります。
例えば、こんな「問い」です。

「私たちが本当に成し遂げたいことは何だろう?」
「周囲の人たちが私たちに求めていることは何だろう?」

このように双方向的に考える機会を創り出すものを、コーチ・エィでは「問い」と呼んでいます。
尋ねる側が決まった答えを引き出すのではなく、一緒に立ち止まって考える行為へといざなうのが「問い」です。
「問い」の目的は、「質問する側」「答える側」もしくは「判断する側」「判断される側」の役割分担から離れ、互いが自由に発想して新しい気づきを得たり、新しい行動の選択肢を見出したりすることです。
コーチングで「問い」が用いられるのは、人は、問われて初めて立ち止まり、自分自身の行動や言動を違う視点から眺められるようになるからです。

コーチングの場で、コーチは「問い」に対する正解は持ち込みません。
「良し悪しの判断」や「こうあるべき」などの信念が前提となった「問い」は、クライアントを「コーチ自身の答え」に誘導する可能性があるからです。
社会を取り巻く課題は複雑に絡み合うもので、その解決に唯一の方法はありません。
「正解」を持ち、合っているかどうかをチェックするような問いかけは、コーチングにおける「問い」とは言えません。
また、コーチングではコーチが一方的に問いかけて、クライアントが答えるという単純な問答形式をとりません。コーチは、クライアントの話を聞いて興味を持ったこと、違いを感じたこと、驚いたことなどを率直に相手に伝えるとともに、そこからさらに新たな問いかけをします。
一緒に、お互いに、新しい意味や視点を探索していくのです。
ですから、「問い」を間に置いた対話では、直線的に答えに行き着くわけではなく、コーチとクライアントが一緒になって、視点を変えたり、時間軸を変えたりと、さまざまな考えを巡らせるプロセスを踏みます。
この探索的なプロセスを踏むことで初めて、クライアントの能力や可能性を最大化できるのです。

コーチ・エィのコーチングと組織変革

私たちは常に、周囲から大なり小なりの影響を受け、その影響によって行動を起こし、その行動が他者や環境になんらか影響し、その影響を受けた他者や環境からまた自身が影響を受けています。
ともすると私たちは、ひとりで存在していると思いがちですが、日々このようにお互いがお互いの影響を受け合いながら、一人ひとりが社会を構成しているのです。
組織も同じです。組織の中では、多様な考えや意志を持つ人々が、お互いに影響し合って変化、成長します。

私たちは、このような考えのもと、「システミック・コーチング™」というコーチングのアプローチを採ります。
システミックとは「全体システムに働きかけること」を意味し、「システミック・コーチング™」は、立場や所属に関わらず、一人ひとりの周囲との関係性が変わり、その変化が影響しあって部署が変わり、そして最終的には、組織全体に変化の波が起こることを目指します。

この変化の波を起こす起爆剤として私たちが重視するのが、「問い」を置いた対話です。
「私は、どのように組織に関わっていったらいいだろう?」
「私たちの部署は、何を変えていくといいだろう?」
「私たちの会社は、社会にどのように貢献していったらいいだろう?」

このような「問い」を置いた対話は、組織をつくっている全ての人が「自分は組織や社会の一部である」と認識したうえで、「周囲とどのように関係し、何を選択し、どのように行動するのか」を考え実行するよう促します。
一人ひとりの周囲との関わり方や行動の変化は、部署にそして組織全体に連鎖し、やがて組織変革を起こすことになるのです。